伯耆町福兼 廣田雅久さん

ここに佇んで大山に望むとスケッチがしたくなるんだ。


○年齢
81歳
○移住日
2000年入居
○自宅ご住所
大阪市住之江区
○現在のお仕事
銅版画家


四季折々の風景に心遊ばせながら、世界に知られる芸術家が夢を描く “森の中のちいさな美術館”

大阪に在住する銅版画家・廣田雅久さんは毎月のように伯耆町を訪れています。 大山山麓に広がる景色が気に入り、長年の夢だった美術館をオープンしたからです。口グハウスの小さな美術館では貴重な版画のコレクション展などが催され、来館者を幻想的な芸術の世界へと誘っています。

ログ八ウスの美術館をオーブンした動機は?

廣田雅久さんはスウェーデンのノーベル賞顕彰財団から制作依頼を受けるなど、世界を舞台に活躍する銅版画家です。遠藤周作、曾野綾子など文豪の出版本の表紙絵を手がけたこともあり、現在は多くの優れた作家たちが参加する美術団体・春陽会の理事として活躍されています。 そんな廣田さんが伯耆町にある別荘地、いすず大山コテージのことを知ったのは弟さんからでした。 「僕の弟がここに別荘を持っていてね。連れて来てもらったら一目で好きになって」 いつかは”森の中の小さな美術館”をつくって、好きな作品だけを展示したいと夢みていた廣田さん。早速、いすず大山コテージにフィンラントのログハウスを建てると美術館『大山版画館』として開館されました。 この美術館では冬季の積雪期をのぞいて年間3、4回の展示会が開催されています。 「銅版画の詩人」と称される駒井哲郎の貴重な初期作品なども一般公開され、来館者は芸術の一つの到達点を堪能することができます。


伯耆町にはどのような印象をお持ちですか?

いすず大山コテージは大山を眺望し四季折々に彩られた景色を見せてくれます。廣田さんは、とくに紅葉に染まる秋の景色がお気に入りですぞつさばやし「私は雑木林が好きでね。ここの雑木林は格別だよ。秋になると葉が落ちて、枝越しに大山が見える。その風情がまたすばらしい」。 美しい自然に囲まれた『大山版画館』は知る人ぞ知る美術館として評判です。別荘地の入居者をはじめ地元の人たちも今度はいつ開館するのかと心待ちにしています。 「こちらの知り合いも増えてね。開館していると聞くと元気でしたかと訪ねてくれてありがたいことだよ。みなさん、素朴でかざりけがなくて、大阪人より人情味があると思うほど」 展示してある芸術作品だけでなく伯書町の風土や人情もこの美術館の作品なのでしよう。 そして、樹林の芽吹く春、万物が誕歌する夏、豊穣の色彩にあふれる秋、白い雪に眠る冬。四季折々の景色もまた作品。 大山山麗にあることでさまざまな魅力に溢れた美術館となりました。

大阪からの距離を遠いと感じませんか?

大阪に在住している廣田さんは、伯耆町に高速バスを利用して来ています。「大阪から高速バスが出ていて本数も多いんだよ。梅田からは3時間ほど、距離を感じることはないね。自然が残っていて交通も便利だから大阪では大山を【関西の軽井沢】って呼んでいるよ」高速バスは溝口インターチェンジで下車。そこからは予約したタクシーで伯耆町へ。 「いつもタクシーの運転手さんにスーパーマーケットに寄ってもらい、数日分の食料を買い込んでから来るんだ」とまるで遠足に出かける少年のように笑顔をほころばせて語っておられました。 じつは、若い頃から美術館の候補地を探して長野県信州も視察したそうです。しかし自宅からは7〜8時間と遠く候補地から外したのだとか。都会の喧騒から心を解き放ち、かけがえのない大好きな時間へと切り替える準備タイムとして大阪から伯耆町までは丁度よい距離なのかもしれません。


大山に来るようになって変わったことは?

「山の風景、樹々の立ち姿、葉っぱの表情・・・。自然の中には絵の題相がいっぱいある。ここに来るようになって風景を題材にすることが増えたね。大山のスケッチにもよく出かけるんだ」 シュールで幻想的な美しさが漂っている廣田さんの作品はこれまで静物をおもな題材としていました。それが近年は、雄大な大山をテーマにした作品を毎年のように春陽会に出品されています。 廣田さんが描く大山の銅版画は温もりを感じさせる線の中に、どこか神々しい雰囲気をまとっています。 その昔、里山の人々は大山を「神在す山」として崇め、朝夕に大山に向かって手を合わせて拝んでいたそうです。大山の善悪も生死も超越した姿が、一人の芸術家のイマジネーションを鼓舞し、創作という生命力を与えているのかもしれません。自然は大きなキャンバス。そこに暮らし、そこに住む人々が織りなす風景が、いきいきとした人生として描かれていきます。

大山版画館
鳥取県西伯郡伯耆町福兼283−385
TEL 0859−62−7850
廣田さん問い合わせ画像