今年度の予算総額は、81億1,000万円とし、前年度と比較して、6億7,300万円の増、率にして9%増の予算規模となっております。
以下、講じようとする施策を10の項目に分けて、主な事業について説明いたします。
1.安心・安全な町づくりの推進
2.子育て支援の充実
3.保育・教育環境の充実
4.健康の増進・福祉の充実
5.環境への配慮した町づくりの推進
6.農林畜産業の活性化
7.観光資源の活用と魅力発信
8.住民主役・協働の町づくりの推進
9.生活基盤の整備
10.財政の健全化
1.最初に「安心・安全な町づくりの推進」です。
能登半島地震では、改めて災害が発生するリスクは常に身近に存在し、いつ現実化してもおかしくないことを強く認識しました。能登半島地震の教訓や地球温暖化に伴う自然災害の頻発化・激甚化に対応し、防災・減災の備えを強化し、安心・安全な町づくりを推進していきます。
そのため、令和6年度に鳥取県地域防災計画等が改定され、能登半島地震での知見を活かした伯耆町地域防災計画の改定を行い、防災対策の更なる充実強化を図ります。
また、地震による被害を軽減するためには、建築物の耐震化は極めて重要な取組みでありますので、伯耆町耐震改修促進計画を改定するとともに、住宅の耐震改修に対して広報の強化と支援をします。
その他、地域の防災減災のために、西部消防局と協議しながら年次的に設置している耐震性貯水槽について、真野、須村地内での2か所の新設と、水量不足が想定される2か所の設計委託費を予算化するとともに、重点ため池の監視システム設置や廃止工事についても地元と協議しながら継続していきます。
2.次に「子育て支援の充実」です。
子育て支援については、令和7年度を始期とする第3期の伯耆町こども計画に基づき、全ての子どもが健やかで心豊かに成長することができる町づくりを推進するため、ライフステージに応じた切れ目のない支援を展開していきます。妊娠や出産、子育てに関する相談支援を行うとともに、児童虐待やヤングケアラーなど困難を抱える子どもへの対応といった施策や事業を町や子育て支援関係者だけでなく、家庭や地域、企業、団体などの様々な主体が協働・連携し、展開していきます。
なお、子ども・子育て支援法による妊婦のための支援給付と、児童福祉法による妊婦等包括相談支援事業が創設されたことを受け、全ての妊産婦・子育て家庭が安心して出産・子育てができるよう、妊娠時から出産・子育てまで一貫した身近な相談支援と、経済的支援を一体的に実施することを目的に、妊娠のための支援給付金(国の出産・子育て応援給付金)を支給します。
また、これまでの小中学校の学校給食費補助を継続するほか、町内すべての保育所での主食のごはん提供を実施し、保護者の負担軽減、食育の推進を図ります。
その他、子どもが安心、安全に遊べる場を提供するため、総合スポーツ公園の老朽化している公園遊具を新たな複合遊具に更新・整備します。
3.次に「保育・教育環境の充実」です。
保育環境の改善、安定的な給食の提供のため、こしき保育所の老朽化している空調や給湯設備等の更新工事を行います。
保育所給食においては、ふたば保育所、あさひ保育所の給食調理等業務を令和7年度から民間業務委託し、専門的な知識・技術を活用し、人員体制を強化します。
また、小中学生の体力低下が叫ばれる中、「ジュニア運動能力向上事業」として、令和6年度から実施している地域活性化起業人などによる運動能力向上を目指す講座を岸本中学校の合同部活の指導として取り入れます。
その他、学校教育環境の更なる充実を図るため、少人数学級編成の実施やICT支援員配置、ALT配置、学校グラウンドの計画的整備などを継続します。二部小学校については、二部体育館を災害時の指定避難所としており、児童、保護者、住民の方の利便性向上のために体育館周辺の舗装工事を行います。
4.次に、「健康の増進・福祉の充実」です。
予防接種の定期接種に新たに帯状疱疹ワクチン接種を個人の重症化予防を目的として実施します。対象は、65歳の方で、5年間を経過措置とします。
次に、毎年見直しをしている住民健診については、肝炎ウイルス検査、前立腺がん検診を町内医療機関でもできるようにします。集団健診や民間医療機関での各種健診を住民の皆さんが選択でき、健診が受けやすい環境整備を進め、病気の早期発見、早期治療に結び付けます。
その他、認知症対策については、新たに県の補助制度を活用し、アルツハイマー病治療薬への補助を行います。その前段においては、これまでの取組みを継続し、認知症に対する正しい理解を深めるために啓発活動を積極的に行い、住民健診や公民館高齢者学級、まめまめクラブなどで、タッチパネルなどを使った簡易な認知機能検査を実施して早期発見に繋げます。結果によっては町内医療機関や鳥取大学医学部病院などを受診していただき、認知症の疑いがある方を早期に医療へ結びつける取り組みとサポートを行っていきます。
5.次に「環境に配慮した町づくりの推進」です。
地球温暖化防止など地球環境保全に対する町民の意識の高揚を図り、環境にやさしい町づくりを推進するため、太陽光発電システム等の導入支援について継続していきます。
新たな取組みとしましては、家庭ごみのリサイクルの推進と住民の利便性の向上を目的として、小型家電の回収ボックスを本庁舎・分庁舎の2か所に設置し、小型家電の拠点回収を開始します。その他、鳥取県と連携し、2050年脱炭素社会の実現に向けて、宅配サービスに対応した置き配ボックスの購入補助を行います。
6.次に「農林畜産業の活性化」です。
本町の主要産業である農業につきましては、依然として担い手不足、従事者の高齢化、仔牛価格の低迷や、円高による畜産飼料の高騰が続いています。引き続き、担い手農業者への機械導入支援や、生産性の向上や省力化による規模拡大を推進するスマート農業への支援、農業共済掛金等についての助成、大滝放牧場の草地改良などに取り組み、農業経営を支援します。
また、農地の地力維持・増進、更には観光資源となる景観形成としての菜の花、レンゲ、ヒマワリにつきましては、町内集落や農業者の方々のご協力により栽培され、マスコミにも多く取り上げられています。引き続きではありますが、ふるさと納税を活用して集落や農業者の方々への種子配布等を支援し、化学肥料の低減を組み合わせた景観形成を目指します。
7.次に「観光資源の活用と魅力発信」です。
写真美術館周辺では、令和5年度から民間事業者、町内団体、行政が連携したイベント開催などにより新たな賑わい創出に取り組んできました。
更なる観光資源の活用、地方創生の取組みとして、写真美術館周辺の町有地を大山と調和し、景観を意識した絶景スポットに整備する計画としています。併せて、民間事業者等と幅広く連携しながら本町の魅力を発信できるような取り組みを進めていきたいと考えています。
また、令和7年は、伯耆町が誕生して20周年です。町民の皆様と20周年を祝うとともに、これからの伯耆町の未来に向けたスタートとして、伯耆町の2大イベントである「きしもと豊年盆踊り花火大会」と「フェスティバル・ディア・マスミズ」に対する補助金を拡充し、例年のイベントを更に盛り上げ伯耆町の魅力発信に繋げていきたいと考えています。
8.次に「住民主役・協働の町づくりの推進」です。
前段でも申し上げましたが、町づくりの原点は人づくりです。それぞれの地域が自主性をもって、知恵と情熱を活かし、人と人をつなぎ、考え、実践していく、そんな住民主役・協働の町づくりを推進していきます。
具体的な動きは今後になりますが、まずは、私自身が住民主役・協働につながる幅広い情報を積極的にケーブルテレビ等により公開・周知していくことから始めていきます。
また、令和7年度は第4次伯耆町総合計画の作成年です。
作成方針等については、今後議会へご説明する方針ですが、住民アンケートなど実施し、各集落のヒアリング、総合計画審議委員会、町議会でご審議いただき、令和8年度から5年間のまちづくり基本方針や主要施策などの策定に結び付けたいと思います。
その他、地域づくり、地域の課題の早期解消を図るための町単独補助事業については、消防施設整備事業や道路改良事業など各自治会から申請いただいた補助対象分合計96件を予算計上しています。
9.次に「生活基盤の整備」です。
暮らしを支える生活基盤が整った町をつくることが「住みよい町づくり」に繋がります。その基礎となる上下水道や道路、公共交通などの社会基盤整備については、長寿命化による機能維持や、更なる改良による利便性・安全性・安定性の向上を目指し、これまでどおり年次的に取り組んでいきます。
上下水道につきましては、必要な施設改良等を行いながら、継続して安定的な管理運営体制の整備と経営健全化に取り組みます。
その他、道路について道路改良工事5路線、舗装修繕工事3路線などに取り組み、安全で快適な道路交通網の整備に努めます。加えて新年度も引き続き除雪用の車両2台を新規購入し更なる除雪体制の拡充を図ります。
10.次に「財政の健全化」です。
令和7年度の歳入歳出予算額は81億1,000万円で、前年度に対し6億7,300万円の増となっています。
増額の主な原因としては、令和6年度人事院勧告に伴う給与改定による人件費の増、自治体システム標準化・共通化委託業務や物価高騰などによる物件費の増、児童手当や障がい福祉サービス費支給事業の給付費等などによる扶助費の増などがあります。
なお、普通建設事業費については、こしき保育所空調・給湯設備等更新工事により増加、公債費については各種長寿命化工事が概ね終了したことにより減少しています。
歳入では、町税で前年度より5,997万円の増額を見込んでいます。これは町民税所得割の前年度の定額減税分の増が大きな要因です。
本町の財源の4割以上を占める普通交付税は、国の地方財政対策においては前年度比1.6%増が確保されました。現時点での見通しは未確定ではありますが、本町では前年度当初予算に対して5,908万円減の35億5,700万円を見込みました。
また、町債の総額は、前年度より1億3,790万円増加し、4億2,110万円としています。子ども・子育て事業債をはじめ、過疎対策事業債、緊急防災・減災事業債などの有利な地方債を活用した構成としています。
全体としては、全事務事業見直し・事業内容精査のほか、一層の歳出削減に努めましたが、それでもなお、不足する財源として、基金からの繰入金3億4,899万円を計上しました。
新年度の一般会計予算は、従前から計画していた事業や継続事業が主なものですが、これまでの健全な財政運営を維持し、引き続き第3次総合計画による住みよい伯耆町の更なる質的向上を図ること、そして、人づくり、町づくり、伯耆町の未来を拓くために、防災・減災、子育て支援、保育・教育環境整備、観光資源の活用、農畜産支援や社会情勢の変化に対応するための事業なども先送りすることなく積極的に取り入れた予算としています。
以上、令和7年度伯耆町一般会計予算の内容を御説明いたしました。
伯耆町長 小澤 敦彦
(令和7年第1回定例会)